和歌山紀州漆器・重箱や弁当箱の特徴、うるわし館体験 NHKイッピン
和歌山紀州漆器黒江塗の歴史
NHKイッピン「食卓を華やかに!うるわしの器 和歌山紀州漆器(きしゅうしっき)」で紹介された、「紀州漆器(黒江塗・根来塗)」の歴史や特徴、通販販売店の在庫・入荷情報を調べてみました。
紀州漆器は和歌山県海南市の北西部「黒江地区」を中心に生産されているため、黒江塗とも呼ばれています。
その歴史は、室町から戦国時代に近江系の木地師集団が住み着き、紀州ヒノキを木地に木の椀を製造したのが始まりと言われているんですね。
海南市の隣町である野上町で漆が採れたこと、また「紀州木の国」と言われるようにヒノキや楠などの木材が豊富だったという地理的要因にも恵まれていました。
根来塗の由来と特徴
和歌山県那賀郡岩出町にある根来寺(ねごろじ)をルーツとする説もあります。
根来寺の僧侶は当時、寺用の膳・椀・盆・厨子などの什器を自ら作っていました。また、彼らは根来衆と通称される強力な僧兵でもありました。
彼らが織田信長に反逆したのをきっかけに、怒った信長が秀吉に命じて寺を焼討ちさせます。そこで僧侶たちは下流の黒江村へ移住して塗りの技術を伝えたというものです。
根来塗の重箱や弁当箱に見られる特徴
お寺の名前から「根来塗」という名称でも呼ばれます。古い漆器は使い込まれることで赤い朱漆が徐々に摺り減り、下地に塗られた黒漆がところどころ模様のように現れていることもあります。
年月による自然な効果で価値が高まるため、これを人為的に再現して朱塗の中に黒い部分が浮かぶのをデザインとして見せる工夫もされています。
一般的な漆器は下地に砥石の粉末と漆を混ぜたものを塗りますが、黒江の漆器は渋地碗といい、柿の渋とススを合わせたものを下地に塗ります。
作業は木の器を作る木地師、吸い込みを防ぐための下地師、漆を塗る塗師、沈金や蒔絵を施す加飾師などに分業され、良い製品を安価に量産することによって黒江塗は名声を高めたんですね。
NHKイッピン紹介のモダンなガラスプレート
明治時代には他県産の沈金彫の技術を導入、京都より蒔絵師を招へいして蒔絵が改良されたり、昭和の時代には天道塗、錦光塗、シルク塗などの変り塗が考案されたことで、和歌山県を代表する伝統的工芸品として発展しています。
通販では弁当箱、重箱、お盆、お椀や伝統工芸士の林克彦さんの作品などが人気です。
NHKイッピンで紹介されたのは伝統の根来塗りを応用した室内用プランター、ガラスに漆で装飾してナイフとフォークが使えるというプレート。
ガラスの裏面から特殊漆を意匠付けし、特殊食器洗浄機対応コートで漆をカバーしている食器です。「塗り工房ふじい」の藤井嘉彦氏が手塗りで仕上げた職人技が光る逸品で、漆黒と朱に映える金箔、銀箔は「純金、純銀」を使用しています。
うるわし館で紀州漆器・蒔絵の絵付け体験
海南市船尾の「うるわし館(紀州漆器伝統産業会館)」では紀州漆器・蒔絵の絵付け体験ができます。うるわし館は紀州漆器の展示・販売や蒔絵の絵付け体験もできる施設です。
絵付けは予約必須で土曜・日曜の午後に開催されます。このほかにもご近所に蒔絵体験のできる施設があるようなので、交通アクセスも含めてチェックしてみてください。
また、紀州漆器の伝統的な「根来塗り」の研ぎ出しを体験してみたい方は、「ぬりもの館」で体験できます。築160年の古民家で体験できるとあって、こちらも人気です。