鎌倉彫の歴史と特徴や下駄・お盆・鎌倉彫資料館の体験 NHKイッピン
鎌倉彫の歴史・NHKイッピン紹介
NHKイッピン「仏師の技で・モダンにほのぼの~神奈川鎌倉彫(かまくらぼり)~」で紹介された「鎌倉彫」の歴史と特徴や下駄・お盆・手鏡などの工芸品、鎌倉彫資料館の体験教室について調べてみました。
鎌倉彫とは神奈川県鎌倉市特産の伝統工芸で、彫刻をした素地に黒漆を塗り、その上に朱漆で装飾したもの漆器です。
鎌倉では1192年に源頼朝が鎌倉幕府を開くと、武士文化が形成されていきます。
「宋」時代の中国文化、禅宗文化を取り入れ、建長寺(1253年)や円覚寺(1282年)などの禅宗寺院が建立されました。
中国の禅宗が伝わってくると、一緒に多くの彫漆器(漆を何度も塗り重ねて彫刻した漆器)が輸入され、仏具として珍重されました。
鎌倉彫の特徴・刀痕やマコモを使った乾口
それらの影響を受け、仏像を作る仏師や神社や寺作りをする宮大工たちが、高度な木彫技術を基盤として、舶来した彫漆に影響を受けて考案したものが鎌倉彫のはじまりと考えられています。
鎌倉彫独特の技法としては、刀痕(とうこん)や乾口(ひぐち)とりが有名です。
刀痕とは文様以外の部分に刀の彫り跡をわざと残すのが特徴で、独特の深い味わいを与えます。
乾口とは上塗りがまだ乾いていないうちに煤玉(すすだま)やイネ科植物の粉であるマコモなどの粉を蒔き、彫刻の陰影を際立たせるものです。
高い部分は朱色で、低いところは黒っぽい古色が残って陰影ができます。
明治時代の仏師後藤斉宮、運久親子が、古い仏像の修理の際に古びをつける技術からヒントを得て、鎌倉彫に応用したものといわれます。
柄のデザインは日本的な草花の絵柄を中心に、力強く大胆に彫刻されていて、柔らかさとあたたかみのあるのが特徴なんですね。
室町時代の末頃には茶の湯の隆盛とともに茶道具が広まり、明治時代になるとリゾート地となった鎌倉に集まった上流階級の人々が、工芸品として関心を寄せるようになりました。
その結果、茶道具をはじめ生活用品としての鎌倉彫が作られていきます。
なかには美術骨董品的な価値を持つものもあり、高価な彫刻漆器としても取引される名高い工芸品です。
老舗の鎌倉彫専門店・後藤家の博古堂や青山工房など
老舗の鎌倉彫専門店として有名なのは、禅宗寺院の仏像の制作のために奈良から移り住んだ慶派の仏師の末裔、後藤家が当主を務める博古堂。
博古堂が主催する「鎌倉彫後藤会」では、一般の人に教室を開いて、基礎の古典手法修得から創作までの指導を行っています。
このほかに、慶長11年(1606年)創業の鎌倉彫陽堂、盆、皿、茶托、帯留め、ネックレス、ブローチまで制作している青山工房、山水堂などがあります。
通販では、下駄(男性用・女性用)、手鏡、鏡台、引き出し、小物入れ、カップ、お椀、箸などが根強い人気です。
鎌倉彫後藤会や鎌倉彫資料館の1日体験教室
鎌倉彫の鎌倉彫後藤会や鎌倉彫資料館で1日体験ができます。専任講師がついて、彫刻刀の無料貸し出しもあり、初めての方でも気軽に鎌倉彫を楽しめます。